1. 小諸なる古城のほとり (3’50”) 2. 夏の夜 (3’10”) 3. 千曲川のほとりにて (4’00”) ---------- 島崎藤村生誕150周年の2022年9月25日、N.F.レディースシンガーズ(指揮=古橋富士雄)第5回定期演奏会委嘱初演作品。 島崎藤村の最初の詩集「若菜集」と、小説家に転身する前の最後の詩集「落梅集」から3篇を選び付曲。 作曲者にとってカワイ出版では初めてのオリジナル作品となる。 1曲目は哀愁に満ちた風景を魅力的に歌い、2曲目は優しく語りかけるような淡い恋の歌、3曲目は人生の変転を高らかに歌い上げる。 全3曲。 グレード:中級 <まえがき> この作品は、指揮者である古橋富士雄先生の喜寿のお祝いとしてN.F.レディースシンガーズの皆様から委嘱のお話をいただき、2020年に作曲しました。当初はその年の夏に初演、秋にイタリアでのレコーディングが予定されていたのですが、新型コロナウイルスの影響で共に延期となり、2022年、島崎藤村生誕150周年という節目の年に、N.F.レディースシンガーズ第5回定期演奏会《明日への光明を求めて》にて初演となりました(指揮 古橋富士雄/ピアノ 秋野淳子)。 なかなか合唱活動ができない厳しい時期を乗り越え、ホールに立体的に響き渡る美しいハーモニーを全身で感じた時、言葉にならない感動を覚えた事を今でも記憶しています。 委嘱のお話をいただいた時、“旅か海”がテーマということを伺いました。そしてイタリアでも演奏をするということが念頭にあったので、日本の情緒が溢れる美しい日本語の詩に曲を付けたいという思いはあったものの、なかなかその詩を見つけるのに苦労をし、詩と巡りあう為の長い旅が始まりました。そんな時に出会ったのが島崎藤村のテキストでした。旅情を繊細に綴った藤村の詩を目にした時、その情景が目の前に広がるかのような感覚がありました。 そこから島崎藤村の第一詩集「若菜集」より、“夏の夜”を、第四詩集であり藤村が小説家へと転身する前の最後の詩集「落梅集」から“小諸なる古城のほとり”、“千曲川のほとりにて”計3つのテキストに付曲しました。 楽譜という設計図から曲想を的確に捉え、命を吹き込み、素晴らしい演奏で会場の皆様に拙作を届けてくださった指揮者の古橋富士雄先生、ピアニストの秋野淳子さん、N.F.レディースシンガーズの皆様、イタリアとの架け橋を繋いでくださった須崎木の実さん、とても素敵な楽譜に仕上げてくださった浄書業者の方、そしてこの曲集を手に取ってくださる皆様に心から感謝を申し上げます。 今までの沢山の方々との巡りあいによって、こうして出版していただくことができました。本当にありがとうございます。(浅子勝也)
浅子勝也
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