駱駝の瘤にまたがって (13’00”) ---------- 2023年8月12日、「合唱団お江戸コラリアーず」により委嘱初演。 駱駝の瘤にまたがったヤクザな男が自分の波乱万丈の人生を回想するストーリーに、一人一人がミュージカルの主役を演じるかのような華やかで躍動的な男声合唱作品。 単一楽曲。 グレード:中級 演奏時間:約13分 <まえがき> 山脇卓也さんからお江戸コラリアーずの新作委嘱を頂いたのは、2019年夏。当初、2021年夏初演の予定でしたが、コロナで初演が半年伸びた上、いろいろ事情が重なって、結局2023年春にようやく新作を完成、夏に初演となりました。山脇さんとお江戸コラリアーずの皆さんにはご迷惑をおかけしてしまいました。 今回のテキスト「駱駝の瘤にまたがって」は、いつか取り上げたいとずっと温めていた詩ですが、あまりに長く、なかなか使う機会に恵まれませんでした。 今回、どんな曲でもOKというお話だったので、思い切って13分の起伏に富んだ単一楽章作品に仕上げました。構成はとても掴みやすく、2つの回想と未来に向かうエンディングという3つの異なる楽想を、共通主題が繋いでいく循環形式になっています。 駱駝の瘤にまたがってやって来た、冴えないやくざ男の現在が循環主題となり、それを軸に、陽気で羽振のいい悪党時代、華やかな恋の時代、腕が衰えお縄になりつつも脱獄してもうひと花咲かせようと去っていくエンディング、という男の波乱万丈のストーリーが展開していきます。香具師の口上のような名調子のテキストを楽しみながら音楽にしてみました。某評論家によると、これは三好達治が自身の詩(文学)遍歴を少々悪ぶったヤクザ者の回想に見立てて描いたものだそうですが、それが本当かどうかはさておき、山脇さん率いるお江戸コラリアーずの皆さんは、魅力的なやくざ男の半生を素晴らしく初演して下さいました。一人一人がミュージカルの主役を演じているように、言葉を大切に、いきいきと歌って頂けたら嬉しいです。(木下牧子)
木下牧子
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