1. ミライノコドモ (5’10”) 2. はる (2’10”) 3. きいている (3’00”) 4. ひとつのほし (6’00”) ---------- 豊中少年少女合唱団と豊中混声合唱団による共同委嘱作品。2022年4月と同年7月に初演。 「児童二部+混声四部」という大きな演奏スタイル。混声合唱団は地上の人間、児童合唱団は精霊や天使といった聖なる役割となる。また全てやさしくわかりやすい言葉によるテキストで書かれていながら、宇宙の広がりを感じるスケールの大きな作品。全4曲。 グレード:中級 演奏時間:約16分20秒 <まえがき> 指揮者の西岡茂樹さんから児童合唱と混声合唱のための新作委嘱を頂いたのは、かなり前のことです。なかなかお互いの予定が合わず、漸く作曲できたと思ったらコロナ禍で延期となり、2022年4月と7月にようやく初演の運びとなりました。今回の委嘱は、豊中少年少女合唱団と豊中混声合唱団の合同委嘱の形であったため、2団の定期演奏会で2回初演されるという、作曲者にとってありがたい形となりました。 以前、児童合唱と混声合唱のための組曲「いのちの木を植える」という作品を書きましたが、今回は児童合唱パートを独立させたため、更に児童合唱の難易度が上がったかもしれません。 童声と女声は音域的には近いですが、クリアな童声に柔らかい女声が加わると、ユニゾンでも響きに奥行きが出て、それに男声が加わることで音質や色彩のバリエーションが更に広がります。 私の場合、混声と童声が共演する場合は、大人と子供というそのままの役割ではなく、混声を地上の人間とするなら、 児童合唱は天上の声、人間を超越したより大きなものを表現することが多いです。 詩は谷川俊太郎さんの4編。第1、4曲はどちらも5分以上ある大曲です。第2、3曲は2〜3分と短めで、間奏曲的な柔らかさを持っています。4編に共通するのは、わかりやすい言葉で書かれていながら、空・天・宇宙といった広がりのある大きなテーマを扱っていることです。まさに私が童声+混声に求めていたテキストそのものと言えるでしょう。音楽的にもスケールの大きな作品を目指し、かなり響きの厚い、難易度の高い曲になってしまいましたが、豊中混声合唱団と同少年少女合唱団が、作曲家の思いを叶えた素晴らしい初演を聴かせて下さいました。 これから児童合唱の人数は減っていくでしょうが、大人の混声合唱団との共演で、児童合唱団の皆さんに豊かな音楽の喜びを味わって頂けるのではないでしょうか。 辛抱強く作品の完成を待って、立体感のある見事な初演を聞かせて下さった指揮者の西岡茂樹さんと豊中少年少女合唱団、豊中混声合唱団の皆さんに心から感謝いたします。(木下牧子)
木下牧子
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