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52211013 2群の混声合唱のための 「光・三首」 楽譜 2群の混声合唱のための 「光・三首」
[カワイ出版]

(在庫1冊)

2,750円

1. 水    (7’30”)
2. 匂い   (4’00”)
3. 螢 螢 螢 (6’00”)
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2006年、松下中央合唱団(現・パナソニック合唱団)のために書かれた。アメリカでの再演に際し、第3曲「螢 螢 螢」のみが先行して出版されていた。2群の混声合唱体によって大宇宙の完全調和を描く雄大なスケールが、全貌を現す。全3曲。
グレード:上級
演奏時間:約17分30秒

<まえがき>
 ひとつの「命題」に対して、この宇宙にはその「逆」も「裏」も「対偶」も「対偶の対偶」も存在し、その全てが「真」である、という、「完全調和」を描くことにより、この世を、そして作者自らを「救済」しようとする「讃歌」を集めた詩集『水平線』(詩集「宙宇」も同系列にある。こちらの詩集からは男声合唱とピアノのための『罰と罪』が出来た)から3篇の詩をテキストとして頂戴し、組曲とした。
 詩人が描く弁証法を、私は2群の混声合唱体によって表現しようとした。このフォルムは、1群×2群、女声×男声、高声部×低声部など、さまざまな組み合わせにより色彩豊かな表現ができるので、私にとって都合がよかった。尤も、この曲を書かせてくださった松下中央合唱団(現パナソニック合唱団)がこのフォルムによる表現を十分に成し得る人数と技術力の高さを持っていてくださったから書けたものである。改めて、この曲を世に出してくださった松下中央合唱団と指揮者の本城正博さんに、この場を借りて心から御礼を申し上げたい。

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 『水』:純正三和音がぶつかり合う対立、ポリコードは、「(理想と現実の軋轢に身悶えする)おのれがおのれを」見つめる羞恥、悔恨、憤怒。その悶えは、メリスマを含むクロマティックな旋律(グレゴリオ聖歌を想起させる)を産み落とす。これは、詩人が謳おうとする「始原」。言い換えれば、「救済、赦し」。その美しい悶絶は、クライマックスの「おのれを哀しみと知らない哀しみは/軽いのです」という、悲劇的なまでに現実的な言葉に圧縮される。
 『匂い』:美しいシンメトリーの世界。そして、ここでも、羞恥がうたわれる。しかしここでは、それは美しく表現される。ストイックなエロス。揺るぎないバランスの上で咲こうとする、匂いというデリケートで艶やかな花。この曲は、恍惚、エクスタシーの表現である。それは、やはり私たち人間の「始原」への回帰をも意味する。桃源郷は、恐らく始原にあり、詩人の言う「本体論的な夢想」は、始原への憧憬ではないか、と私は思っている。
 『螢 螢 螢』:2群の混声合唱体が、細微な音の集合体(最小単位、つまり細胞、生命体)が離反と接近を繰り返しながら、最終的に融合して大宇宙を形成する。音と空間で表されたアウフヘーベンだと思っていただいてよい。そして、その融合こそが、次のエネルギーを生むための爆発、分裂を誘導し、その分裂は、再び新しい細胞、生命体を生むのである。この曲が生み出す音の波動は、生命の波動である。
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 初演から16年の歳月を経て、こうして組曲全曲が出版されたことに大きな喜びを感じている。(松下 耕)

松下耕
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