1. 空の嘘 (3’50”) 2. ふたつの幸せ (3’10”) 3. 遠くへ (4’00”) ---------- 2021年8月7日、岐阜を拠点に活動している女声合唱団「Ensemble Kiika(きいか)」 による委嘱作品。 綺麗なメロディーを持つ小さい作品集であるため、曲を組み合わせて合唱祭やコンクールでの演奏が可能。短い作品だが曲中に様々な変化があり、歌いごたえ、聴きごたえがある。「空の嘘」「ふたつの幸せ」「遠くへ」の全3曲。女声三部合唱、ピアノ伴奏付き。 グレード:中級 演奏時間:約11分30秒 <まえがき> 谷川俊太郎さんの詩に作曲した3曲をまとめた曲集です。各曲それぞれ別の機会に作曲した混声版が元になっており、3曲通しての演奏はもちろんですが単曲でも演奏映えします。演奏会のほか、難易度的にはコンクールの選曲としてもよいかもしれません。小音符の個所は音域的に無理ない場合は演奏してください。
・空の嘘 谷川俊太郎さん20歳代の頃の作品です。2013年開催の作品個展のために混声版を作曲しました。軽快な3拍子の楽曲。教会旋法風のメロディがどこか哀愁を感じさせます。 ・ふたつの幸せ 2014年、大阪の大学合唱団の4年生たちによる卒業前の「フェアウェルコンサート」のために混声合唱版を書き下ろしました。コンサートのテーマが「いきなりクライマックス」だったこともあり、冒頭からインパクトのあるfから始まります。詩は2013年刊行の『こころ』(朝日新聞社)に収録。 ・遠くへ 谷川俊太郎さんが東日本大震災を受けて書かれた詩で、「ふたつの幸せ」と同じく『こころ』に収録されています。最初に混声版の委嘱をうけた際、「テンポ80〜100くらいで明るめ」「流れすぎず快活過ぎない、落ち着いた明るさをもった曲調」「勇壮で力強く、盛り上がる(歌い手が力を込めてアツく歌える)部分がある」というリクエストがあり、それを踏まえて作曲しました。是非、熱い感動とともに演奏してください。また、この曲はピアノパート無しの無伴奏での演奏も可能です(その場合、14〜17小節は省略)。ア・カペラならではの、ピアノ付きとはまた違った音楽作りをお楽しみいただけます。
カワイ出版からの作曲作品としてはこれが実に3年振りの出版となります。その間にコロナ禍が世界を席巻し、合唱界にも大きな影響がありました。あらためて、「歌うこと」の意義を考えさせられる中、この作品で少しでも明るい未来が近づけばと願っています。女声版の初演に際しては、指揮者の栢森和重先生にこの場を借りて御礼申し上げます。(石若雅弥)
石若雅弥
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