ウィーン、旧市街の小路にて (5’00”) ---------- 2021年夏、金城学院グリークラブによる委嘱初演作品。 流麗なピアノと骨太な合唱の響きによって、「ウィーン」の風景描写が鮮やかに表現されている。また、ハーモニーの移ろいによって詩の奥行きが丁寧に映し出されているのもこの曲の魅力である。コンクールの自由曲として取り上げたい女声合唱ピース。 グレード:中級 演奏時間:約5分
<まえがき> 金城学院高等学校グリークラブの委嘱により2021年に書いた作品です。当団の指揮者で旧知の仲である宮木令子先生からお話をいただき、宮木先生ゆかりの地がウィーンであること、また金城学院という品性ある伝統校のカラーに合い、コンクール自由曲としてのボリュームやドラマ性を持つことから長田弘さんのこの詩を選びました。 ウィーンの風景描写と共に、過去と現在の対話、歴史が今生きる私たちに語りかけること……流れるような詩の言葉の鮮やかさとその奥行きに圧倒され、感化され、音楽もドラマティックなものになりました。詩の中のキーワードである“鐘の音”を、曲の始めと終わりに象徴的に配置しています。この曲に関しては、音楽的な“構成美”よりも、詩の流れに沿ってたゆたい、疾走し、立ち止まり、見渡し…実際にウィーンの街並みに入り込んだような臨場感とスピード感を意識しました。私自身がそのような心持ちで作曲していたと言えます。ピアノパートも合唱と対等なアンサンブルが求められる、繊細かつ大胆なピアニズムで描いています。合唱とピアノがよく聴き合い、大きなスケール感を持ってのびのびと演奏していただけたらうれしいです。 金城学院高等学校グリークラブの皆さん、宮木令子先生、ピアノの森貴美子先生に心より感謝を申し上げます。(名田綾子)
名田綾子
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