1. Kyrie (4’30”) 2. Gloria (4’00”) 3. Sanctus (2’15”) 4. Benedictus (2’00”) 5. Agnus Dei (2’45”) ---------- 2022年1月、混声合唱団鈴優会第31回定期演奏会にて初演。 コロナ禍で社会の「分断」が多くの場で指摘されたが、新たな「一致」を「和=ハーモニー」と考え、平安を祈りながら作曲した。今回のミサ曲はこれ以上の分断を生まないという象徴として、4パートより多くの分割(Division)がない、ささやかな「四声のミサ曲」となった。ルネサンス風の模倣様式・教会旋法を織り交ぜながら、親しみやすい旋律が印象的である。少人数の合唱団でも取り組みやすく、アンサンブル・コンテストなどでも歌いたい作品である。 グレード:初〜中級 演奏時間:約15分30秒 <まえがき> 「分裂のある所に、一致を。」 これはアッシジの聖フランシスコの平和の祈りの一節です。音楽に出来ることは限られたことかもしれませんが、コロナ禍における社会の分断は各方面で指摘されており、祈りの言葉の中の「一致」を「和=ハーモニー」と置き換え、コロナの収束や世界の平安を祈りながら作曲しました。作曲する上で、とてもささやかなことではあるのですが、分断がこれ以上進まないことを祈る象徴として、四つのパートそれぞれが一か所もDivision(分割)しないように書きました。したがって私が今回作曲した2つ目のミサ曲は「四声のミサ曲」となりました。 以上は、初演時のパンフレットに寄せた文章の一部です。その後ウクライナで戦争がはじまりました。音楽が直接戦争を止めることや、命を救うことは出来ない無力感を改めておぼえましたが、合唱は複数の人間の声が楽器ですので、合唱することは生きることそのものであり、人とのつながりそのものであることを考えると、世界中に起きている諸課題の解決へのヒントを合唱は含んでいるようにも思います。 歌う人どうしがお互いの声をよく聴き合って、楽しみながら心通わせて演奏し、聴いてくださる方の心に優しく温かなものが広がることを祈って作曲しました。それがたとえ、あまりにささやかなことだとしても、平和な社会に至る道筋からは逸れていないと信じて。(名島啓太)
名島啓太
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