1.桜の歌 (4’20”) 2.初夏 (4’25”) 3.雪 (5’00”) ---------- 2022年8月に札幌にて開催された「The Premiere vol.5」のために作曲された作品。 本作では、日本のロマン主義文学を代表する歌人・与謝野晶子の三つの詩が選ばれた。華麗に魅せるピアノと七五調の語感を大切に紡がれた合唱によって、美しい詩の情景が立ち上がってくる。春風が流れているような「桜の歌」、爽やかな恋心を忍ばせた「初夏(はつなつ)」、静謐な冬景色が心に滲み入る「雪」の三曲。 グレード:中級 演奏時間:約14分 <まえがき> 日本語の美しさ、言葉一つひとつの放つ色彩感に魅力を感じて、与謝野晶子さんのこの3つの詩を選びました。絵画、日本画を見ているかのように鮮やかな情景を想起させる言葉に、音が自然と絡み、流れていったら良い…と思いながら作曲しました。3曲それぞれが持つ異なる色彩を、強く感じて演奏していただけたら嬉しいです。作曲者が思う色合いと演奏のイメージのメモを少し、一例として下に記しておきたいと思います。 《1.桜の歌》 桜色、桃色、赤などのグラデーション、京おんな、華やか、艶やかな色合い。出だしの音色は解放されて開くように。透明感を持って柔らかく、華やかに。 《2.初夏》 青、緑、白、赤い靴、走っていく美少年。ピアノの前奏の開始から、決然とした爽やかな音色で。a cappellaの部分はテンポすっきりと。 《3.雪》 白、銀色、薄雪。静かな曲調の中、練習番号2から徐々に変化し中盤のピアノソロに繋いでいく。59小節からのフレーズに曲の重心があるように。 コロナ禍の影響で2年越しとなってしまった初演を実現してくださった札幌のリトルスピリッツ指揮者の北田悠馬様、ピアニストの石井ルカ様、団員の皆様に、深く感謝申し上げます。(五十嵐琴美)
五十嵐琴未
|