ばあちゃんが笑った (6’00"") ---------- 2021年5月1日、清水雅彦指揮によるChorus ST委嘱作品。未来に希望をつなげるような合唱曲を委嘱したい、という思いから出来た3部作の1曲。混声三部合唱作品(ピアノ伴奏付き)。 ゆったりとした音の歩みの中に、年老いた「ばあちゃん」と語り手「ぼく」との交流がほのぼのと綴られる。 グレード:中級 演奏時間:約6分 <まえがき> いくつか提示された中から、ほとんど即決で選ばせていただいたこの詩ですが奇跡的ともいえるドラマが待っていました。 この詩に出てくる「ばあちゃん」のモデルが、いま私が指導している合唱団の団員及び元団員であり、つまりフルリーナさんが、以前この合唱団の指導に携わっていらしたのです。お会いしたことのなかったフルリーナさんと、このようなドラマが生まれ思い出深い曲となったのでした。 曲は、合唱が常に詩的な表情を持つピアノに先導され、それと関わり合いながら進行します。男声が旋律を歌う部分では顕著ですので、メトロノーム的に淡々と進行せずに、ピアノの音色や次に奏される音を身体で鳴らしながら、じっくりと歌い上げると効果的でしょう。また、各場面の転換で、どれだけのタメを作り(アゴーギクのニュアンス)どれだけ鮮やかに色彩を変えるか、などによってこの曲が表出するドラマ性が大きく変わります。その裁量は演奏者次第ですが、D durになる瞬間に一番の感動をもたらすことによって、この物語に重心ができて、バランスが良くなると考えております。演奏の参考になさってください。(相澤直人)
相澤直人
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