1. さくら(二〇二〇合唱) (5’00"") 2. 夏の終わり (6’30"") 3. アルデバラン (5’00"") ---------- 森山直太朗の制作楽曲に新たな光が当たるようなアレンジが施された無伴奏混声合唱曲集。〈コロナ禍で歌えなかった人達〉を想って新しく歌われた「さくら(二〇二〇合唱)」、静けさとモダンな響きが魅力的な「夏の終わり」、力強いメッセージソング「アルデバラン」が収録された編曲者渾身のア・カペラ三部作。3曲は2021年5月?2022年1月の間に編曲初演された作品である(指揮:栗山文昭)。演奏者それぞれの想いを込めて、全ての世代で愛唱したい一冊。 グレード:中級 演奏時間:約16分30秒 <まえがき> 2020年、突然猛威を振るったウイルスによって、私たちは「歌う」ということを失いました。そして沈黙に耐えながら、きっとどこかにあるはずのゴールに向かってひるむことなく歩み始めていったのです。ここにある森山直太朗さんの力強く、美しい3曲も「歌えなかったすべての人たち」がいつか笑顔で歌える時が来ることを信じながら、心をこめて編曲させていただいたものです。 ■さくら(二〇二〇合唱) 原曲の歌のバックはオーケストラと混声合唱という編成でした。今回は声のみによる特性を活かすため、オリジナルとは異なる要素を随所に散りばめています。主旋律はもちろん大事ですが、それ以外の旋律とも相互に影響しあって合唱を形成します。ロングトーンでは美しい流線のように、歌詞のある音ではしっかりと言葉を乗せて、この曲の持つメッセージを高らかに歌いあげてください。 なお、エンディングは原曲版(A)と短縮版(B)の2パターンを作成してありますので状況にあわせてご自由に選択してください。 ■夏の終わり 森山直太朗さんが""解釈は人それぞれ自由ですが、(自分は)反戦歌として歌っている""と語られた記事を読んだことがありました。 演奏に際しては曲中の""貴方""という言葉の解釈が、ポイントになるのかもしれません。音楽的には前曲が""動""であり、本曲は""静""です。2番で採用したFinger snapは決してノリを作るためのものではなく、淡々と訴えかける心のモヤっとした部分とでも言いましょうか。言葉にならない部分なのです。あくまでも厳かで、静かに刻んでみてください。 ■アルデバラン 2021年、森山直太朗さんが作詞・作曲され、AIさんが歌ったNHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の主題歌です。AIさん持ち前のソウルフルな歌声が曲の最後に華々しく現れ、とても力強く終わっていきます。 無伴奏混声合唱版においてもこの""魂""に応えるべく、最後は大胆に体全体でビートを刻むという構想で編曲していきました。シンプルに言えば、全体は""静→動""です。〔F〕で束の間の静寂が訪れますが、それは華やかなエンディングへの布石。Jazzyな音も混在して少し難しいものと思われますが、このコロナ禍を抜け、開かれた広い世界を想像しながら、思いっきり弾けてください。 *** コロナ禍という苦しい状況にも関わらず無伴奏版による初演を立案してくださり、指揮してくださった栗山文昭先生、お力添えいただいた佐藤洋人さん、素晴らしい初演を果たしてくださった栗友会クワイア[Mil'AI]、Youth Choir Aldebaranの皆様に厚く御礼申し上げます。(アベタカヒロ)
アベタカヒロ:編曲
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