さくら(二〇二〇合唱) (5’00"") ---------- 栗友会クワイア[Mil'AI]により初演(指揮:栗山文昭)。2021年5月、Tokyo Cantatにて。 本曲は2003年に発表された楽曲であるが、“2020年歌えなかった人たちのために”という思いを込めて新しく制作され、2020年11月「カロリーメイト」のCMに起用されたことでも話題になった。まだ心置きなく歌える状況ではないが、“2020年歌えなかった人たちのために”という思いを大事にし、カワイ出版からもお届けしたい混声合唱ピース。出版に際し、短縮版の演奏も新しく可能になった。アンコールピースとしても最適な作品である。 グレード:中級 演奏時間:約5分
<まえがき> 2020年、森山直太朗さんの《さくら(二〇二〇合唱)》を、カロリーメイト(大塚製薬)のテレビCM『?えないもの』篇のために編曲を担当させていただきました。本曲は、新たに「無伴奏混声合唱」として編曲したものとなっています。CMはコロナ禍の影響で試合に臨めず、ぶつけるやり場のないままに夏が終わってしまう高校球児たちと、「うまくいかないときに、それでも続ける努力を、底力って言うんだよ」と、優しくも決然と諭すその教師が中心となって描かれた作品でした。私は編曲作業の際に頂くVコンテ(映像の絵コンテのようなもの)を観た時点で涙しました。そのように日頃の成果を発表する場を失ったのは合唱界も同じですね(残念ながら今この文章を書いている時点におきましても、様々なコンサートが中止・延期に追い込まれている状況です)。 そんななか、リモート配信を駆使しつつ縮小開催することとなった「Tokyo Cantat 2021」で、本曲をア・カペラで発表することを栗山文昭先生が決意されました。あまりにも突然のことで当時とても驚いた記憶がありますが、日ごとに創作意欲は増していきました。しかし、もともと「オーケストラ+混声合唱」で編曲したものをどうまとめるかという難題にはずいぶんと悩みました。そこには、多くの人に歌えるものを目指したい、という想いも重なっていたからです。結果としては、この編曲のためにいくつかの新しい要素を盛り込みましたので、CMオリジナル版とは少し流れの異なる部分がございます。また、盛り上がりの一部でソプラノに高いA音が出現しますが、全体としてはどなたでも無理なく歌える音域にまとめたつもりですので、どうぞチャレンジしてみてください。 曲の結び方では[Ending A]と[Ending B]の2種類があります。初演時は通常の[Ending A]が歌われ、この出版の際に、コンパクトに終わる[Ending B]を作成しました。ご都合のよいほうを選択していただいて構いません。(アベタカヒロ)
アベタカヒロ:編曲/森山直太朗:作曲
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