1. ねがい (1’20”) 2. いっしょ (2’00”) 3. けろりと (2’40”) 4. いろぬり (2’20”) 5. かの日 (2’50”) 6. どれにしようかな(3’15”) 7. ラブソング (3’20”) 8. おわかれ (2’10”) ---------- どこか大人の事情や捻り、スパイスのある詩人の小さな日常を言葉にしたテキストを、言葉に素直に向き合って生まれた音で紡がれるアルバム。心をほっこりとさせてくれるような小品が詰まっている。 グレード:中級 演奏時間:約20分
<まえがき> この曲集に収められた作品は、主に私自身が指揮をする身近な合唱団、身近な人たちのために書いた曲です。詩を書いてくださった方は、以前に私の合唱団でメンバーとして歌っていた小学校の先生。歌っても、絵を描いてもセンスがある彼女に、ある時にいわゆる「無茶振り」的に詩を書いてもらったところ、曲もスルスルと書けてしまったことから、詩人・きむらえいりさんとの新しい繋がりが生まれました。小学校の先生ならではの視点を基本スタンスとしながらも、どこか大人の事情や、捻り、スパイスを感じるきむらえいりさん独特の世界、皆さまにもどうぞ手にとっていただき、お楽しみいただければ幸せです。なお、すべての詩は、作曲意図などを伝えた上で書き下ろしていただきました。 1. ねがい コロナ禍で歌を歌えない、私が担当する学生たちのために作曲。簡易な二部形式に僅かな終結部がつき、前奏曲的な役割を持っています。 2. いっしょ 全音音階を用いた部分と、調性の機能を持った部分が交互に現れ、やや異質な香りを醸し出します。1曲目と3曲目を繋ぐ役割、曲集全体のバランスを考えて加えた楽曲です。 3. けろりと きむらえいりさんは実はカエル博士?で、世界中のカエルの種類を言えるそうです(ピパピパ以外のすべてのカエルが大好きだそう)。そして、この作品がきむらえいりさんと生み出した記念すべき第1作目「小学生の歌う曲ってなんで短調が少ないのかしら?」「じゃぁ、作曲してみるから詩を書いてみてよ!」「わかりました!」 ・・・(結局、ト長調) 同声二部合唱として書いた作品(教育芸術社刊)を、大人も歌える女声三部にアレンジしました。 4. いろぬり この曲も3曲目までと同様にト長調の調号で始まります。しかしこれまでとは異なり、ミクソリディア旋法の香りがする冒頭から終止線まで常に軽快で、都会的な和声進行をもつ作品です。三和音を、機能和声から離れながら自由に進行させた、ユーモラスでドラマチックな展開をお楽しみください。 5. かの日 母親になった団員と、生まれた子のために作曲。前奏は夏の涼風。ハ長調は、これから塗られる無色のキャンバス。 6. どれにしようかな 詩人も想定外であろう規模を持たせた、猪突猛進系楽曲。一本しかない道、ただの人生を弛まないリズム感で表現した作品です。 7. ラブソング 美しく、儚い前奏、間奏、後奏を持つ緩徐楽章。この詩をどう読み取るかは、読み手に任されているように感じますが、曲中は所々にほろ苦さを感じさせる音を配りつつ、極めて内省的なロマンチシズムを目指しました。 8. おわかれ ある合唱団の入団課題用独唱曲として作曲後、ただちに女声三部合唱曲に編作。「あい」と「ゆめ」がキーワードとして用いられたこの詩には、様々な願いがこもっているよう。アンコールピースとしても最適です。(相澤直人)
相澤直人
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