すきになると (3’50”) ---------- 合唱をはじめたばかりの子どもも楽しく歌える易しいシリーズ「こどもコーラス・コレクション−ジュニア−」の第1弾。 詩人の「今も(心に)ひそんでいる子どもの言葉」をかりて書かれたテキストは、子どもが持つ“すきなきもち”が朗らかに広がっていく(詩集〈バウムクーヘン〉より)。その言葉の彩りがうまく見えるように、ポップスやジャズのエッセンスを散りばめながら作曲されている。誰もが純粋に楽しめる、心が軽くなる1曲。 巻末には参考音源が試聴できるQRコード・演奏アドバイス付き。 グレード:初級 演奏時間:約3分50秒
〈参考音源〉 合 唱 女声アンサンブル八重桜(ソプラノ:對馬 香 アルト:瀬戸翔吾・富本泰成) ピアノ 清水 史 音源編集 富本泰成 <まえがき> この詩は、谷川俊太郎さんの詩集〈バウムクーヘン〉に収められています。〈バウムクーヘン〉は漢字を使わず全て“かな”で書かれており、選ばれたフォントやディック・ブルーナの装画、本の質感など、詩集全体の洗練されたデザインにも心惹かれます。谷川さん曰く、「私の中に今もひそんでいる子どもの言葉をかりて、老人の私が書いた大人の詩集です。」とのこと。なるほど、子ども向けに書いた詩ではないかもしれませんが、大人の心の中にある子どもの言葉を、子どもがのびのび歌う曲にしてみたいと思いました。 「すきになると」はポジティブでワクワクする詩ですが、「だれかがぼくをきらいでも」という一行に少しドキッとします。だれかがぼくをきらいでも、かなしいことがあっても、けんかしたくなっても…それを上回る「すきなきもち」のパワー! その前向きなエネルギーを、気負いすぎず素朴に朗らかに歌い上げ、その空間がパッと晴れやかになるような曲になれば嬉しいです。心に思っていることを身近な家族や友達に話しかけるように、ひとつひとつの言葉を大切に歌ってもらえたらと思います。 基本的には二部合唱で、一部分だけ三部に分かれます。1拍目のうらから始まるフレーズや、4拍目うらに重みを持つフレーズがたくさん出てきます。ポップスやジャズのエッセンスを、私なりの遊び心を持って散りばめています。リズムの切れ味を大切に、休符もしっかり意識して演奏してください。【C】以降はどんどん転調し、「すきなきもち」の広がりを色彩的に表現しています。ピアノの響きに乗って、ぜひいきいきと楽しんで歌ってください。(名田綾子)
名田綾子
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