出発 (4’15”) ---------- 「女声合唱とピアノのための 薔薇、見知らぬ国」の終曲「出発」の男声合唱版。 旧ユーゴスラビアの崩壊の悲劇を現地で体験した詩人による、重い内容の作品であるが、この「出発」はコラール風の鎮魂歌であると同時に、未来への一筋の希望が込められた美しい曲である。 グレード:初〜中級 演奏時間:約4分15秒 <まえがき> この曲はもともと、女声合唱とピアノのための「薔薇、見知らぬ国」の最終曲として作曲したものだが、その後、この男声版が、さらに混声版も生まれることになった。 この男声版は、私が指揮をする大学生の合唱団Voces Veritas 第5回演奏会のアンコールのために書いたもので、その年、2015年にはかなり大きな規模の新曲「罰と罪」の初演も行なっており、私にとって忘れられないコンサートとなっている。 この文章を書いているのは2020年7月。世界は、新型コロナウィルスの感染拡大の行方について、見当が全くつかない不安な日々を過ごしているが、こんな時だからこそ、「その後の新しい価値観、ものの見方、考え方」をじっくりと模索することが必要だと思っている。まさに「向こう岸の音を聞け」だ。 この、辛抱が続く時期が、私たちの「罰と罪」を思う時間となり、新しい時代、新しい生き方への「出発」への序章となるか。それは、私たち自身の智慧の度合いに委ねられていると思わざるを得ない今日この頃である。(松下 耕)
松下耕
|