1. Introit et Kyrie (6’30”) 2. Offertorium (6’00”) 3. Sanctus (2’30”) 4. Pie Jesu (2’30”) 5. Agnus Dei (3’30”) 6. Communio (4’00”) 7. Libera me et Antiphona (7’20”) ---------- おかあさんコーラスの作品でも広く知られる作曲者は、一方で自身のライフワークである“祈りの作曲家”としても知られる。これまでに「巡礼」や「般若心経」、ローマ法王への献呈作品である「三つの聖母マリア賛歌」など、宗教・宗派を超えた作品を生み出してきた。本作は、作曲者のライフワークの集大成として作られた。初演は、ウィーン・シュテファン大聖堂のグランドコンサートで行われた。 混声四部合唱(第4曲のみソプラノ独唱)。ピアノ伴奏付き。全7曲。ラテン語詩。 グレード:初-中級 演奏時間:約33分 <まえがき> 日本の宗教的風土は、実に多様な深い世界観を持っています。 アニミズム(原始宗教)から今に続く「日本神道」、6世紀に中国から渡った仏教、そして16世紀中頃に渡来したキリスト教、それらは多くの日本人にとって信仰対象となってきました。 私のライフワークは「祈りの世界」です。日本人として祈りの世界に対峙してきました。今回の「レクイエム」もそうです。しかし、キリスト教=西洋、と東洋の宗教観はまったく違う軸にあります。作曲に取り組んでから完成まで3年余。改めてキリスト教の祈りの世界と向かい合い、神の光によって身が透明になる思いを経験しました。 各宗教の違いを考察することは簡単です。しかし、共通項を探すことは難しい。私は作曲を通して共通項を見出しました。キーワードは「人生における救い」です。仏教的世界は「修行」を通し、キリスト的世界は「神の愛を信じ赦しを乞う」ことです。それらは一見して違う行為ですが、根は同じことです。「救われたい故に祈る」のです。 この作品は私のライフワークの一つの頂きです。 この作品によって、私はこれまでの私とは違う私を発見し、そして今、その喜びに満たされています。(−初演プログラムより−)(鈴木憲夫)
鈴木憲夫
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