1. あなたのなかに (2’35”) 2. 今日と明日のあいだ (2’45”) 3. しずかな誓い (2’40”) 4. まなざし (3’15”) 5. 大きな愛 (5’10”) ---------- 2018年1月20日、北九州市の女声合唱団「フリューゲル・シャッツ」の25周年記念演奏会にて委嘱初演。詩は同じく北九州出身のみずかみかずよによるもの。6篇の詩から成り、タイトルになっている終曲が二つの詩により構成されている。大きな愛情が音楽を通してじんわりと聴衆に伝わってくる、穏やかで大人の女声向きの作品。全5曲。 グレード:初〜中級 演奏時間:約16分25秒
<まえがき> 女声合唱団フリューゲル・シャッツの皆さんには、以前から私の女声合唱作品を取り上げていただいていた。指揮者の今釜亮さんと私の繋がりによるところが大きく、まだ駆け出しの頃に書いた作品から少し実験的に試した作品まで、地元関西から離れた土地で演奏していただけたことに、ずっと感謝の気持ちでいっぱいであった。 合唱団の25周年記念演奏会にて新曲を…というお話を頂いた際、二つ返事でお引き受けした。「合唱団が長く歌い継いでいけるような曲」という要望が今釜さんからあったので、なるべく平易な言葉で語れていて、それでいて歌い手の皆さんが「静かに共感できる」内容にしようと考えた。 この「静かな共感」という点、合唱に於いてはバランスが難しい。強く共感してしまうと表現そのものがインパクトあるものに偏りがちになり、共感が少ないとそれはそれで表現にも繋がりにくくなる。言葉を味わい、音楽を味わい、じんわりと歌い手の中に染み渡るような組曲が書きたいと思った。 みずかみかずよさんの詩作は、それに適していたと言えよう。合唱団が拠点にしている北九州出身の詩人であり、言葉の選び方や文体から柔らかさと奥深さが伝わってくる。言葉を読むだけで目の前に色彩豊かな世界が広がるが、そのどれもが控えめなのが良い。全5曲の組曲としたが、みずかみさんの作品から滲み出ている奥ゆかしさのようなものがうまく表現できたのではないかと思っている。組曲のタイトル「大きな愛」は作品中の言葉から拝借したが、今回作曲させていただいた6篇の詩の世界観にぴったりの言葉だと感じている。(北川 昇)
北川昇
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