1 絵本 (4’50"") 2 HELP! (3’30"") 3 祈り (4’15”) 4 生きる (5’45”) ---------- 2018年12月24日、大阪大学合唱団第60回記念定期演奏会委嘱作品。 1曲1曲が展開豊かな充実した作品であり、全体としても一つのストーリーのような感覚を意識して書かれた組曲。歌い手にあわせ若さあふれるダイナミックな作品に仕上がっている。全4曲。 グレード:中級 演奏時間:約18分20秒 <まえがき> 吉原幸子さんは、私が敬愛する詩人のひとり。ただそのことは、誰にも言ったことがありませんでした。ですのでこの委嘱をお受けした際、大阪大学混声合唱団の皆さんからテキストの候補として吉原幸子さんの詩が提示されたときは驚きましたし、なにか運命めいたものを感じたことを覚えています。 そして出来上がった曲を聴いたとき、詩と合唱団の相性の良さを音楽で橋渡しできたような、これまで味わったことのない達成感を感じたのでした。 提示された候補の中の『生きる』という未刊の作品がとても印象的で、この詩を最終楽章に置いた組曲のビジョンがまず浮かび、それに沿って他の楽章のテキストを選んでいきました。このような経緯から、最終楽章『生きる』がこの組曲の重心ともいえる存在で、そのためこの楽章の冒頭(「瞳のひかるわかものは〜」の部分)のメロディーが、その他三楽章の様々な箇所に織り込まれています。また第三楽章『祈り』では、フォーレのレクイエムから『リベラ・メ』の主題が引用されています。「わたしを解き放ってください」という一節を読んだ時、即座にこのメロディーが頭に浮かび、どうしても曲中で活かしたくなったのです。 もともと面識も繋がりもほぼなかった私に大切な記念作品を委嘱してくださり、そして圧巻としか言いようのない初演をしてくださった “阪混” の皆さん、曲の完成のうえでも大きなご協力・ご助言をくださった名島先生、石井先生。またカワイ出版の牧野さえ子さんにはいつもながらご尽力いただきました。この場をお借りして心からの感謝を申し上げます。(市原俊明)
市原俊明
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