1. 水 (3’10”) 2. 宝石 (3’20”) 3. 夕陽 (2’30”) 4. 晩夏のコオロギ (4’00”) 5. 心の扉 (3’00”) ---------- 2019年1月14日、「女声合唱団 花の風 」にて委嘱初演。詩人の多彩な心の風景を表した原詩を、作曲者が音楽の語感と日本語の語感を合わせながら訳し、その詩の内容にあった様々な表情を持つ5つの音楽が付いた作品。全5曲。 グレード:初〜中級 演奏時間:約16分 <まえがき> この『心の扉』に選んだ5篇の詩は、エミリーの多様で多彩な心の風景を表しています。 「水」(1859)は、美しい結果よりも過程の苦しみに寄り添うエミリーらしい作品と言えると思います。柔らかな水から“鋳型”の硬さや空虚感、最後はニュー・イングランドの一面真っ白な雪が小さな命の存在を際立たせるまでの質感の変化が鮮やかな作品です。 「宝石」(1861)は乙女らしい詩ではありますが、“紫水晶”の硬質な手触りが、詩全体をすっきりと透明なものにしていると感じられます。 「夕陽」(1861)は、太陽の沈む様が自然の織りなす一幅の絵物語のように演出される、色彩豊かな詩です。ヒョウやカワウソなどがその色彩に命を与え、筆致を躍動感あるものとしています。 「晩夏のコオロギ」(1866)は夏から秋への移行期に草むらで淡々と鳴くコオロギの“ミサ”が、孤独や喪失と同時に、新たな季節の到来、自然の高まりを告げる詩です。 「心の扉」(1883)は可愛がっていた8歳の甥ギルバートが腸チフスで亡くなった後、息子を亡くした兄嫁スーザンに贈った詩です。〔ギルバートは死の床で「Open the door, open the door, they are waiting for me(扉を開けて! みんなが待っている)」とうわごとを言っていたそうです。〕 日本語タイトルは本組曲のために創ったもので、日本語詞は、音楽の語感と日本語の語感を合わせながら、原語から起こし歌詞として一から作りました。機会あればぜひ原詩の美しさも味わって頂けたらと思います。 大切なファーストコンサートでの新曲を託して下さいました女声合唱団花の風の皆様、岸 信介先生、由良郁子先生はじめご関係の皆様に心より感謝申し上げます。(なかにしあかね)
なかにしあかね
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