1. あめちゃん(安達祥子 詩) (3’20”) 2. 罵詈雑言 近江風(谷川文子 詩)(3’00”) 3. おおきな木(島田陽子 詩) (2’30”) 4. ジモティーに捧ぐ(遠藤 亮 詩)(3’40”) 5. あいうえおおさか くいだおれ(島田陽子 詩)(4’00”) ---------- 関西の「女性指揮者の会」委嘱作品。関西弁で書かれた詩をテキストとしており、その地方のアクセントに従うことに強い意義を感じながら作曲された。曲中の台詞は演奏団体ごとに変えることもでき、個性豊かなステージが期待できる。全5曲。 グレード:中級 演奏時間:約16分30秒
<まえがき> 本作は女性指揮者の会20周年記念演奏会のために作曲されたものです。指導者によるユニオンに向けて合唱曲を書くならば、何かしらの提案性や問題意識の共有を含むものにしたいと、まず考えました。そこで選んだのが関西弁による合唱曲というテーマです。 関西弁もしくはその他の方言詩への作曲は、過去にも多くの作曲家によって手掛けられてきたことなので、新しい着眼であるとは言えませんが、予てから私も取り組んでみたいと考えていた領域でした。標準語の詩を標準語のアクセントで作曲することに対して特別の疑いもなく私は過ごしてきたのですが、方言詩にこそ、その地方のアクセントに従って作曲する強い意義があるはずです。高低アクセントの支配を受けつつも音楽として自立したものにすることには日本人作曲家としての腕を試される要素が多く含まれています。逆に言えば、実は標準語の詩を標準語のアクセントで作曲することには方言詩ほどの意義を持たないのではないかと私は考えています。そのことを詳しく解説すると長くなるので割愛しますが、興味は尽きません。演奏においても作曲においても、言葉を尊重することはその土地の文化や歴史への敬意であり、人々への愛であると私は考えています。 さて、今回はこのチャンスを逃すまいと関西弁の詩を集め、作曲に取りかかりました。私は生まれてから小学校入学直前まで兵庫県西宮市で育ったので、三つ子の魂百までと言いますが、関西弁に関してはある程度自信を持っていました。しかし実際に取り組んでみるとそれほど簡単ではなかったのです。そこで女性指揮者の会代表の福田美保先生にお願いして朗読音声を送っていただき、それを聴いてアクセントを書き込むことから作曲が始まりました。楽譜が完成したあとも、練習を進めていただきつつ、細部にわたって会員の皆さまからご意見をいただき推敲を重ねました。そのようにして出来上がったのがこの譜面です。 1曲目「あめちゃん」にはセリフの記譜があります。この楽譜に書いてあるテキストは私が創作したもので、このまま使っていただいてもいいですし、演奏団体ごとに自由にお考えいただいても構いません。ぜひインパクトのある舞台作りを目指してください。(信長貴富)
信長貴富
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