1. 春に (4’30"") ---------- 日本大学合唱団の第70回記念演奏会のアンコール向けに書かれた混声合唱曲。和合亮一詩集「詩の礫 起承転転」(徳間書店刊)の中から「春に」に付曲された。震災を経た後の「春」に、それ以前の「春」とは異なる特別な思いを抱きつつ、普遍的な祈りとノスタルジー、そして希望を込めて作曲された一曲。 グレード:中級 演奏時間:約4分30秒 <まえがき> この曲は日本大学合唱団の第70 回記念演奏会のアンコールピースとして作曲されたものです。詩は和合亮一さんの詩集『詩の礫 起承転転』(徳間書店)から選びました。この詩集は東日本大震災から2 年後の2013年に出版されたもので、巻末に「春に」と題された詩が6つ載っており、本作はそのうちの一つ目に置かれているものです。 震災を経た後の世界を生きる私たちにとっての「春」は、それ以前の「春」とは異なる意味を持つと、私は感じています。被害の少なかった東京に居てすら、あの年の春は特別であり、その後の季節の巡りの中で、新しい春はあの年の春からの倍数としての春なのだと思うのです。作曲に用いた詩「春に」にも、特別な春への思いが読み取れます。それと同時に普遍的な祈りがあります。ノスタルジーと、その先に見える希望があります。様々な人が、様々な思いを重ねられる詩であると思います。旅立ちの場面に贈るに相応しい言葉であると思い、演奏会の最後を締めくくる曲としてこの詩に作曲したいと考えました。 初演にあたっては指揮の鈴木成夫先生、ピアノの山内知子先生、日本大学合唱団の皆さんに大変お世話になりました。感動的な初演をありがとうございました。(信長貴富)
信長貴富
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