1. ふるさとの木の葉の駅 〈坂村真民 作詩〉 (3'00"") 2. ひとひらの花びら 〈鈴木憲夫 作詩〉 (2'45"") 3. よりそいて蛍のごとく吐息せり〈丹治富美子 句〉 (2'10"") 4. こころ 〈木谷佐知子 作詩〉 (3'00"") 5. 清冽の詩 〈こやま峰子 作詩〉 (5'00"") ---------- 表題にもなっている「ひとひらの花びら」は、女声版、男声版、歌曲版で発表されており、長らく混声版の作品が待たれていた。作曲者の個性豊かなメロディーと世界観を、ぜひ混声合唱で感じていただきたい。 グレード:初級 演奏時間:約15分55秒 <まえがき> この曲集に収められている作品はいずれも女声合唱曲として発表されました。此の度、混声合唱曲集として新たに編纂、上梓される運びとなりました。 「ふるさとの木の葉の駅」(初出2005年 女声合唱曲集「ほほえみ」) この作品は「二度とない人生だから」を委嘱・初演して下さった京都市の「コーラスふじの会」の指揮者・故竹上廣子先生の追悼演奏会のために書かれました。詩はとても美しく哀切的でさらに映像的です。どうかその世界をイメージしていただきたいと思います。 「ひとひらの花びら」(初出1991年 女声合唱曲集「茜の空に」) 1990年に突然に亡くなった友人Y子さんの想い出のために作られたものです。詩の中に「この花は美しく咲き終えた花だったのか/それともこれから咲こうとしていたのか」とあるようにY子さんへの哀悼を込めています。風という言葉が出てきます。それは「世間」また「私たち」という意味合いがあります。作曲を思い立ってから一年後にこの作品は完成しました。 「よりそいて蛍のごとく吐息せり」(初出1991年 女声合唱曲集「茜の空に」) 広大な宇宙からすれば小さな地球、さらに小さな陽だまりのようなところで生きている私たち。その小さな世界でまるで蛍の吐息のように睦みあい生きている私たちの、まさに一瞬の生命の輝きを描きたいと思いました。 「こころ」(初出1989年 女声合唱曲集「鈴木憲夫抒情小曲集」) 18歳・高校三年の時の作品です。はじめ混声として発表され、その後、女声合唱作品となりました。稚拙ながら若々しい息吹を感じさせます。今回の混声版に当たり、大幅に手直しを加えました。 「清冽の詩」(初出1989年 女声合唱曲集「鈴木憲夫抒情小曲集」) 1981年に発表されたこの作品は私の女声作品の中で初めの本格的な作品になります。ひとすじのしずくがやがて川となり、大きな流れとなる様を描いたこの作品は、オリジナルの女声より混声合唱の方が、この曲の持つ壮大さがより出ているように思われます。 どの作品も私にとって古く懐かしい作品ばかりです。そして大切な作品です。それぞれの作品に込められた当時の息づかいがよみがえってくるようです。これまで女声作品として愛されたこれらの作品が、混声作品として生まれ変わり、混声合唱の世界に新しい風を送ることができますことは、私の念願であっただけに嬉しさあまりあるところです。(鈴木憲夫)
鈴木憲夫
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