1. 旅 装 (3’20”) 2. のちのおもひに (4’10”) 3. どうして 不意に(3’00”) 4. 唄 (2’40”) 5. 燕の歌 (3’40”) ---------- 「家(巣)」と言うキーワードで、優秀な建築家でもあった詩人の「家」という空間を通じて、彼の人生を音楽で表わそうと構成された組曲。 1から4曲目までは、緻密な構成の上、詩人の心の中を描いていく。終曲は映画のエンドロールのようにフィナーレとして作曲された。 グレード:中級 演奏時間:約16分50秒 <まえがき> 「燕の歌」は、混声版を2016年8月の舫の会演奏会で初演していただきました。そして2年後の2018年12月、東京フラウエン・カンマーコールの皆様が創立25周年記念の演奏会で女声版を初演してくださいました。 この作品は、夭折の詩人・立原道造の夢、建築家でもあった立原道造にとっての家という場所、旅と人生といったキーワードから選んだ5つの詩で構成しています。旅をして再び軒に戻ってくる燕という鳥はそれらの象徴として、「燕の歌」を組曲の題名に選びました。 立原道造の詩に触れると、爽やかな風とともに様々な自然の風景が浮かんできます。女声版はそういった立原道造の世界観を、混声版とはまた違った色合いで感じていただけるように思います。特に「旅装」、「のちのおもひに」は、詩の情景を想像しながら歌っていただけたら嬉しいです。「のちのおもひに」で鳴り響くミのフラットの音はホルンのようなイメージで、39小節からは混声版と違う調に転調します。 また「どうして 不意に」、「唄」からは立原道造の命の叫びが聞こえてくるようです。「どうして 不意に」では死を予感していた道造に、詩が湧いてくる衝動を音楽で表現しています。練習番号BやCはあまり重くなりすぎずワルツのように拍を感じていただけたらと思います。また、「唄」の途中(24小節から)には2曲目冒頭の旋律が顔を出します。 立原道造と同じように、いろいろな思いを抱えながら病気や戦争で若くして亡くなった方々が、この時代たくさんいたように思います。終曲「燕の歌」は立原道造の夢だけでなく、これからの若者の夢が絶たれることがないように平和への願いも込めて作曲しました。(山下祐加)
山下祐加
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