1. Kyrie (5’00”) 2. Gloria (4’35”) 3. Sanctus (4’00”) 4. Agnus Dei (3’10”) ---------- ほぼ同年代の若手作曲家4人が作曲したミサ曲で、「Kyrie(森山至貴)」「Gloria(相澤直人)」「Sanctus(市原俊明)」「Agnus Dei(名島啓太)」で構成されている。 連作だがそれぞれをつなぐコンセプトとしてルター作曲のコラール「深き淵より」の旋律が共通の主題として使われている。四人の個性がぶつかり合いながら、一つの作品としての不思議な統一感が魅力的な作品である。 グレード:中級 演奏時間:約16分45秒 <まえがき> このミサ曲は、「名島啓太とみんなの30年」〜指揮者生活30周年記念演奏会〜というコンサートで、出演してくださった合唱団のメンバーに何か記念として作品を残そう、ならばご縁の深い、若い作曲家の皆様と私とで一つのミサ曲を連作してみるのは面白いのではないか、と考えて、私が3名の若い作曲家に委嘱をして完成したものです。演奏会のコンセプトが「集い」であったこともあり、「ミサ」というアイデアにも自然と結びつき、作曲家の皆様にもご快諾いただきました。 作風の違う4人が、それぞれバラバラに作曲してしまうと取り留めのない作品が集まっただけになってしまうので、統一性を持たせるために、ルター作曲のコラール「深き淵より」の旋律を共通の主題として書こうということになりました。また初演となる演奏会がジョイントコンサートとであるいう性質上、練習時間も回数も限られたものになるので、「平易かつ短い」ものになるようお願いし、私が「Agnus Dei」を初めに書き上げ、作品の難易度や規模を見てもらって書き進めていただく形を取りました。 ところが…!若い作曲家たちは難易度や規模の話は忘れてしまったようで、その溢れる才能を遺憾なく発揮した、大規模で華麗な素晴らしい作品が次々と誕生しました。私としては、想定外の展開に戸惑いましたが、曲全体としては、3人の多彩でドラマチックな音楽が次々と展開した後、最後の「Agnus Dei」では不思議な統一感と落ち着き、そして余韻が得られ、静かに曲を閉じる構成となりました。それは、3人の若い作曲家の稀有な才能による巧まざる計算であると気付いたとき、私は深い感動をおぼえました。 ミサ曲全編を通じて、その清らかで美しい祈りの音楽を味わっていただけるものと思います。また、ここに「新しい創造のかたち」を見出すのは、私ばかりではないのではないでしょうか。(名島啓太)
森山至貴・相澤直人・市原俊明・名島啓太
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