猫のボブ (5’20”) ---------- 複数の作曲家で一つの組曲を作るというアイディアのもと出来た混声合唱作品「四つのディベロップメント」の第1曲目。猫の鳴き真似から始まりJAZZYな音楽が印象的で大人っぽい作品。 グレード:中級 演奏時間:約5分20秒
<まえがき> 「4人の作曲家でひとつの組曲を創作する」という素敵な企画にお声掛け頂きワクワクしたのと同時に、指定された順序が一番だったために大いに悩みました。普通に一人で組曲を書く場合と、リレー形式の一番として書くのと、どのように差異を出そうかと。結果、出来るだけ個性的に、沢山の要素を入れて作曲したのが「猫のボブ」です。後に続く作曲家さん達となるべくカラーの被らなそうな自分らしい曲で、尚且つ組曲として後に活用し得る共感できる素材も色々練り込んで…と密かに苦悩したわけですが、何も告げずとも意図は見事に汲まれ精巧に発展し、組曲としてこうして結実したことに喜びと感謝でいっぱいです。 作曲当時を思い返すと、丁度世相が安保法制で揺れており、原爆投下の慰霊の時期でもあったため作中の一節「平和って何?」という言葉が常に頭にありました。私にとって作曲するということは音楽を通して人間、真理、神羅万象といった深遠で根源的なテーマを考えていくという事でもあり、「平和って何?」という答えのでない、けれど根源的で深遠な問いを考え続けることがこの作品の根底にあります。 演奏上の留意点としては、冒頭の「nya…」は合唱用の美しい発声から離れて、しゃがれたり唸ったりとリアルに猫を模した表現を試みると面白いと思います。その後もブロック毎に相応しい声の質に切り替えてメリハリのある演奏を心がけると良いでしょう。(魚路恭子)
魚路恭子
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