1. 春の岬に来て(三越左千夫 詩) (2’00”) 2. 甃のうへ(三好達治 詩) (1’56”) 3. 微雨〔こさめ〕(三好達治 詩) (1’50”) 4. 北の海(中原中也 詩) (2’00”) 5. 天の籠(立原道造 詩) (3’40”) 6. やがて秋……(立原道造 詩) (5’00”) 7. 子守唄(立原道造 詩) (2’50”) ---------- わが国の作曲界の重鎮である尾高惇忠が、三越左千夫、三好達治、中原中也、立原道造の詩に作曲した、瑞々しい合唱曲集。オリジナルは女声合唱で、作曲者がまだ30代の頃の作品。時を経て混声合唱となっても、その魅力はいささかも衰えない。全7曲。 グレード:中級 演奏時間:約20分20秒 <まえがき> ずいぶん昔の話、1970年パリ音楽院留学を終えて帰国したばかりの私は芸大で作曲理論を教えていたが、本来の作曲家としての仕事は殆ど休止状態だった。 そんな私に、それでは困る、と合唱曲の依頼を下さったのが恩師小川尚子先生だった。先生は私の母校、湘南学園高等学校で音楽を担当され、その情熱あふれる指導を受けて広上淳一、川久保純子、野田清隆といった現在一線で活躍中の音楽家が多数巣立っている。 当時、この曲集の出版に当たっては先生自ら出版社に度々掛け合って下さったとは後から伺った話、有り難いことで感謝に耐えない。そんな先生のご努力の末に出版されたこの曲集、当初は女声三部合唱曲として作曲、春の岬に来て、甃のうへ、微雨、北の海、やがて秋……、の五曲で構成したが、その後1998年に天の籠、子守唄の二曲を加え増補改訂版として再出版している。 それから実に二十年が経過、時の経つのは早いものだが、先日、指揮者の広上君からこの曲集を混声四部合唱に編曲してはとの勧めが有った。昔の作品なので最近はもう記憶からも遠ざかってしまっていたが、改めて譜面を眺めてみると、以前は女声合唱故に果たせなかった本来は男声で歌って欲しい部分が聴こえて来たり、女声合唱では得られない幅広い響きが欲しくなったりして、混声にすることにより充実した新たな可能性が聴こえて来ることを確信した。同時にオーケストラ伴奏による版も欲しいということなので、混声四部合唱と二管編成オーケストラによる版も同時に作成した。昔一度、女声三部合唱とオーケストラで曲集の中から数曲をアマチュアの合唱団と東フィルが演奏したことが有ったが、オーケストラの伴奏による大合唱の響きは素晴らしく、その時の感動は今も心に残っている。 混声合唱による〜春の岬に来て〜、今回の出版を機により多く方々に歌って頂けることを願っています。(尾高惇忠)
尾高惇忠
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