[CD1] 78:16 フィリップ・ヴェルドロ[c.1480/85-before 1552]:わが今際の溜息は オルランドゥス・ラッスス[1532-1594]:『わが今際の溜息は』によるマニフィカト ノレット(生歿年不詳、1538-1546年に活躍):千年もの時ほど ラッスス:『千年もの時ほど』によるマニフィカト アンセルモ・デ・リュー(生歿年不詳、1524-1557年頃に活躍):わたしが思う通り、死によって ラッスス:『わたしが思う通り、死によって』によるマニフィカト チプリアーノ・デ・ローレ[1515/16-1565]:王なる者の魂が ラッスス:『王なる者の魂が』によるマニフィカト ジャケ・デ・ベルヘム[c.1505-1567]:ああご婦人、お伝えできたら ラッスス:『ああご婦人、お伝えできたら』によるマニフィカト デ・ローレ:美しき乙女よ ラッスス:『美しき乙女よ』によるマニフィカト クリストバル・デ・モラレス[c.1500-1553]:幸せな気持ちで日蔭に座していると ラッスス:『幸せな気持ちで日蔭に座していると』によるマニフィカト
[CD2] 79:14 オラツィオ・ヴェッキ[1550-1605]:おお、なんと美しき曙 ラッスス:『おお、なんと美しき曙』によるマニフィカト ジョヴァンニ・マリア・ナニーノ[1543/44-1607]:そのとき、あの黄金色に輝く髪が ラッスス:『そのとき、あの黄金色に輝く髪が』によるマニフィカト アレッサンドロ・ストリッジョ1世[c.1536/37-1592]:全き恵みと愛に満ちた母 ラッスス:『全き恵みと愛に満ちた母』によるマニフィカト ストリッジョ1世:わたしは今やこの気持ちに疲れ果て ラッスス:『わたしは今やこの気持ちに疲れ果て』によるマニフィカト デ・ローレ:別れのとき ラッスス:『別れのとき』によるマニフィカト デ・ローレ:美しき東の郷から ラッスス:『美しき東の郷から』によるマニフィカト ラッスス:もし、わたしが生きて逃れ出て ラッスス:『もし、わたしが生きて逃れ出て』によるマニフィカト
※録音:2023年1月9-14,16,17日/英国南部ハンプシャー州イースト・ウッドヘイ、聖マーティン教会 ---------- [16世紀最大級の巨匠ラッススの多芸さがきわだつ選曲と演奏の妙]イタリアのパレストリーナと共に16世紀を代表する作曲家オルランドゥス・ラッスス。多声音楽の名匠を数多く輩出したスペイン領ネーデルラント(現在のベルギー)で生まれ、ミュンヘンのバイエルン選帝侯宮廷に長く仕えながらイタリアでも活躍、多岐にわたる作曲活動を通じて国際的な名声を誇ったこの巨匠が残した膨大な作品のうち、重要な部分を占めるのが教会音楽です。そこには救世主の懐胎を喜ぶ聖母マリアの讃歌=マニフィカトが実に100曲以上も含まれ、それらを追ってゆくだけでもラッススの作曲手法の多様さに驚かずにおれません。ルネサンス音楽に精通する英国の才人フィリップ・ケイヴ率いるマニフィカトは、団体名の由来でもあるこの讃歌形式を通じてラッススが示したルネサンス・ポリフォニーの至芸を系統的に紹介する録音シリーズを開始。多くの場合グレゴリオ聖歌の旋律を元に作られた当時の多声教会音楽の世界にあって、ここに紹介されるラッススの作品群はあえて聖歌旋律ではなく、往年の大家や同時代人たちのポリフォニー楽曲を下敷きにして書かれています。第1弾となる当盤に集められたのは、非宗教的なマドリガーレを元にしたもの。それぞれの曲でラッススが参照したヴェルドロ、デ・ローレ、モラレスら先人たちによる関連曲も突き止め、合わせて収録することで作品理解がより深まるプログラム構成になっています。女声歌手2人を含む10人からなるアンサンブルが織りなす緻密にして静謐な演奏解釈は、個々の作品に秘められていた雄弁な音楽力を十全に引き出しながら、汲めど尽きせぬラッススならではの多声技法を他の作曲家たちのそれと比べて知る面白さを堪能させてくれます。ポリフォニー歌唱の本場たる英国から届いた充実の2枚組、じっくりお楽しみください。
マニフィカト、フィリップ・ケイヴ (指揮)/Magnificat, Cave
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