パオロ・アレティーノ - Paolo Aretino (1508-1584): 1-6. 第1の夜課 Lamentatio I Responsorium I: Sicut ovis ad occisionem Lamentatio II Responsorium II: Jerusalem, luge Lamentatio III Responsorium III: Plange quasi virgo 7-9. 第2の夜課 Responsorium IV: Recessit Pastor noster Responsorium V: O vos omnes Responsorium VI: Ecce quomodo moritur Iustus 10-12. 第3の夜課 Responsorium VII: Astiterunt reges Responsorium VIII: Aestimatus sum Responsorium IX: Sepulto Domino 13. ザカリアの讃歌「祝福あれ、イスラエルの主なる神よ」
※録音: 24-27 August 2021, Chiesa di Sant'Ignazio, Arezzo, Italy [63:10] ---------- [男声低音域の味わい深い響き、16世紀イタリア音楽の通念を覆す受難節音楽]徹底した音楽学的検証を経た上での充実した演奏解釈で、ルネサンス期のイタリア音楽の「生まれたての姿」の味わいを現代に蘇らせ続けるパオロ・ダ・コル指揮の男声アンサンブル、オデカトン。今回はフランドル楽派の精緻な多声音楽に大きな影響を受けていた作曲家が多かった16世紀中盤、フィレンツェのメディチ家にも仕えながら故郷アレッツォを中心に活躍した知られざる名匠パオロ・アレティーノ(「アレティーノ」はアレッツォ出身者を意味する通称、本名はパオロ・デル・ビーヴィ)の受難節音楽という秘曲中の秘曲に迫ります。この時期には現代で言うコントラルトから男声の中低音域までバランスよく、各声部が独立した動きを見せるポリフォニーの魅力を追求した音楽が多かったところ、パオロ・アレティーノはここでテノール、バリトン、さらにバスの低音域まで使ってバランスを低音寄りとし、随所で多声の綾よりも歌われる詩句の味わいを優先させた朗読調とも言える音運びを使用。人肌の温もりを感じさせながらも隅々まで精緻にコントロールされたオデカトンの面々の歌唱が、その作品が持つ不思議な魅力をこの上なく明晰に伝えてやみません。色彩感より構図や描線にこだわったというフィレンツェ画派の名作群にも通じる奥深い音楽の響きが、16世紀イタリア音楽のさらなる豊饒さを改めて強く印象づけてくれる好企画です。
オデカトン、パオロ・ダ・ル (指揮)/Odhecaton, Da Col
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