1. あなたは嬉しそうに歌う、だが 2. 見ていなければ死ぬこともない 3. どこかへ行ってしまえ、わが溜息よ 4. いとも麗しきわが命の君よ 5. おお、悲痛なる喜び 6. どういうことでしょう、婦人よ 7. この上なく幸せな夢とは 8. あなたにとっても、私の苦悩が悩みの種なら 9. わが命にも等しい、その両の眼よ 10. 悩み衰える者がいる、現世からの去り際に 11. 情けをください、と私は泣き叫ぶ 12. おお、あなたはなんと幸福なのでしょう 13. 急ぎ集まれ、恋人たちよ 14. その両目の涙をぬぐってください 15. 私を殺すのか、なんと残虐な人よ 16. ああ、その美しい胸を隠してください 17. 飽くことを知らぬかのごとく 18. しかしあなたは、この容赦ない痛みの元なのだから 19. ああ、なんと暗い昼の光 20. あなたが去るなら、私も留まるのは止そう 21. 好きです、わが命にも等しい方!と
※録音:2020年9月 ベルギー北西部ヴェスト=フラーンデレン州ヘント、カルメル教会 [55:08] ---------- [彼らだからこその真相に迫る、作曲家晩年の異形の和声感覚再び]2013年の『レスポンソリウム集』(LPH010)、2016年の『マドリガーレ集 第6巻』(LPH024)に続き、ヘレヴェッヘ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘントの厳選メンバーによる、ジェズアルド晩年の異形の傑作三部作の録音が遂に完結しました。ナポリ王国の貴族として生まれ、最初の結婚で妻の不義密通に怒り相手方の男とともに惨殺させたことで有名なカルロ・ジェズアルドは、晩年に偏執狂的細密さで独自の和声語法を追求し、同時代の音楽の通念を大きく踏み越えた作風に行きつきました。亡くなる前には極度の被害妄想と人間不信に陥り、居城にこもりきりで、第5・第6マドリガーレ集と『レスポンソリウム集』は印刷業者を印刷機ともども城に呼び入れて楽譜刊行したほど。後世の感覚では歪んだ不協和音だらけの音楽とも感じられるこれら3つの曲集でも、本盤の『マドリガーレ集 第5巻』は20世紀にストラヴィンスキーがいち早くその魅力に開眼、自作品にも引用したことで知られています。通常の合唱でも用いられる4声部に加え、さまざまな音域で自在な動きを見せる第5パートを加えての全5声部からなる音作りの綾を丁寧に読み解き、歌詞も十分に読み込んだ細かな解釈をもって、驚異的な演奏能力で異質な和声感覚の真相に迫り得るのは、ハーモニーを徹底しておろそかにしないことで有名なヘレヴェッヘが、少数精鋭チームとともに正面から臨んだからこそ。「残された人生は本当に必要と思える曲としか向き合わない」と言明した古楽合唱の名匠が放つ、決定的と言ってもよい新名盤の誕生です。
コレギウム・ヴォカーレ・ヘント [ミリアム・アラン(ソプラノ)、バルボラ・カバートコヴァー(メゾ・ソプラノ)、ジェイムズ・ホール(カウンターテナー)、ベネディクト・ハイマス、/トレ・トム・デネイス(テノール)、ジミー・ホリデイ(バス)、トーマス・ボイゼン(リュート)] / フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)
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