1. ペア・ヌアゴー(1932-): 夢の歌〜混声合唱と任意の打楽器のための(1981) 2. ヘルムート・ラッヘンマン(1935-):慰め II〜16部混声合唱のための(ヴェッソブルン祈祷書)(1968) 3. アルフレード・ヤンソン(1937-):夜想曲〜二重合唱、2つのチェロ、ハープと2 人の打楽器奏者のための(1967) 4. カイヤ・サーリアホ(1952-):確信〜3人の女声、クロタル、ヴァイオリンとチェロのための(1967) 5. ヌアゴー:歌え、わが心よ、お前の知らぬ庭の歌を(8 部合唱と8 つの楽器のための)(1974) 6. ヤニス・クセナキス(1922-2001):夜(1967-68)〜12 部の混声または混声合唱のための 7. サーリアホ:夜、さらば〜混声合唱と4 人の独唱者のための(1991/96)
※セッション録音:2015年6月/ソフィエンベルグ教会(オスロ、ノルウェー) ---------- SACDハイブリッド盤。ノルウェー・ソリスト合唱団はオスロを本拠とする室内合唱団。1950 年に作曲家クヌート・ニューステットが創設、1990年からグレーテ・ペーデシェンが芸術監督を務め、洞察にもとづく解釈とひろがりのある深い響きを特徴とする音楽により、高い評価と人気を得てきました。当ディスクはニューステットへの「墓碑銘」とした『わが命の光』(BIS SA 2184)に続くBIS レーベル第8弾です。「我々は夢と同じ糸で織り上げられている」(シェイクスピア『テンペスト』(第4幕第1 場)松岡和子訳・ちくま文庫)。プロスペローの台詞をアルバム・タイトルに「それぞれの時代だけでなく、私たちの前にひらけてゆく時代に向けた、前向きで望みにあふれた作品」による「夜と夢」を枠組みとしたプログラムが組まれました。デンマークのペア・ヌアゴー(ネアゴー)の作品が2曲。デンマークの作家フィン・メトリングが中国の詩を基本にして作った「少年が夢に見た将来の自分の姿を語る」詩を民謡を思わせる旋律を織りまぜながら歌う《夢の歌》。リルケの『オルフェウスに寄せるソネット』(第2部・第21番)をテクストに、シューベルトの《君はわが憩い》と《アヴェ・マリア》の断片も引用した《歌え、わが心よ、お前の知らぬ庭の歌を》。ラッヘンマンの《慰め II》は、ドイツ語による最古のキリスト教祈祷書『ヴェッソブルン祈祷書』にテクストを求めた作品です。ノルウェーのアルフレード・ヤンソンの《夜想曲》は、ニーチェの『ツァラトゥストラはこう語った』から「……深い真夜中は何を語るか。『私は眠った、眠った−−深い夢から私は目覚めた……』」と歌う「ツァラトゥストラのラウンドレイ」を使い、実験的な語法も交えたネオロマンティックな歌に作っています。クセナキスは「シュメール語、アッカド語、古代ギリシャのアカイアの言語とその他の音素」をコラージュしたテクストによる《夜》を作曲、祖国ギリシャの政治犯に捧げる作品としました。フィンランドのサーリアホは、ヘルダーリンの「光と闇の対照」を語る詩を「過去と現在が昏睡状態のように交差する姿」として表現した小曲《確信》に作り、ジャック・ルボーの小説『光の交換』とバルザックの『セラフィタ』の抜粋をテクストに使い、2つの部分に分かれる《夜、さらば》に書きあげました。 サーリアホは2016年8月に開催のサントリーホール国際作曲委嘱シリーズNo.39のテーマ作曲家です。
ノルウェー・ソリスト合唱団、グレーテ・ペーデシェン(指揮)、オスロ・シンフォニエッタ/The Norwegian Soloists’Choir
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