(1) ポエマ・デ・バルコネス (世界初録音) (2) ウォールデン 星の雫の蒸留者 (3) 塩と悲しみ (世界初録音)
※録音:(1)2009年3月17、18日、(2)(3)2008年2月19-21日 ---------- SACDハイブリッド盤。チェコの作曲家、マルティン・スモルカの合唱作品集。5楽章からなり打楽器を伴う「ウォールデン 星の雫の蒸留者」は、「現代社会の暴力性」をテーマにした作品を委嘱された作曲者が、現代社会が損なっているものとしての「自然」をテーマに書いたもの。テキストに取られているのは、森の中で2 年2 か月に渡る自給自足の生活を送り環境保護運動の先駆者としても知られるヘンリー・デイヴィッド・ソローの著書「ウォールデン 森の生活」からの抜粋です。自然への賛歌の中に損なわれゆく自然の姿や暴力性が潜んでいるこの曲で、スモルカはあえてシンプルな長短音階や従来の拍節を用いて純粋な自然、人間の立ち返る場所を描いたとのこと。シンプルな中に紛れ込むひずみが現代社会の姿を写してしているようです。「ポエマ・デ・バルコネス」と「塩と悲しみ」はどちらも初録音。それぞれ14分、18分を超える大作です。「ポエマ・デ・バルコネス」ではスペインの詩人ガルシア・ロルカの詩から抜き出された3行〈海は浜辺で踊る/バルコニーの詩/水は轟く〉が、「塩と悲しみ」ではポーランドの詩人タデウシュ・ルジェヴィッチの愛と記憶についての詩が使われています。哀愁漂う透明感、飲み込まれるような声の渦…スモルカが生み出す独特な世界観に注目です。SWR シュトゥットガルト声楽アンサンブルは高い実力や豊かな実績を持ち、現代音楽合唱シーンには欠かせない存在となっています。声が持つ表現力の幅広さに魅せられること間違いなしのディスクです。
SWRシュトゥットガルト声楽アンサンブル、マーカス・クリード(指揮)、(2)マルティン・ホーマン(打楽器)
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