1-6. マニフィカト(1973-1974)《わが心、主をあがめ わが霊は、わが救い主なる神を喜びまつる/フーガ:そのはしための卑しきをも 顧みたまえばなり/その憐れみは代々に限りなく/主はその腕で力を振るい/5.パッサカリア:権力者を引き下ろし/祖先に言われたように》 7-10. カディッシュ(2009)《死は墓石から墓石へ移動する/路上の若者も老人も地面に嘘を書く/永遠にわれわれを引き渡さないでください。あなたに懇願します/偉大な名前が高貴で聖なるものとなりますように。アーメン》
※録音 2010年10月7-11日 ワルシャワ ポーランド放送 ヴィトルト・ルトスフワフスキ・コンサート・スタジオ…1-6, 2010年10月22-23日 ワルシャワ・フィルハーモニック・ホール ---------- これまでのNAXOSにおけるペンデレツキ(1933-)作品集のように、このアルバムも収録された2作品の作曲年代が35年を隔てた「スタイルの違い」を際立たせるものとなっています。1960年代におけるヨーロッパの前衛音楽を代表するトーン・クラスター(全ての音を同時に発する混沌とした響き)がふんだんに用いられた「マニフィカト」は、代表作である「ルカ受難曲」の流れを汲むものですが、この曲が書かれた70年代にはすでにトーン・クラスター自体が若干時代遅れになっていて、ペンデレツキも自身の作風を見直す傾向にあったようです。そして少しずつ「ロマン派」に戻っていったペンデレツキは以降驚くほどに聴きやすい音楽を書くようになって行くのです。2009年に書かれた「カディッシュ」はタイトルが示す通りユダヤの祈りの歌であり、ユダヤ人ゲットー(第2次世界大戦時にユダヤ人が強制的に住まわされた居住区)の解放65周年を記念して書かれた作品で、ここではクラスターなどの刺激的な響きがすっかり影をひそめた緩やかで美しい音楽ばかりが存在しています。
ワルシャワ少年合唱団/ワルシャワ・フィル/ヴィト
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