ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱」 ---------- レコードコレクターは初版という言葉に弱いのですが、フルトヴェングラーファンは、初版CD にも目の色を変えます。理由はデジタルリマスタリングの少ないよりマスターに近い音で、フルトヴェングラーを聴きたいからに他なりません。確かに初期CD は音がやや硬かったりするのですが、デジタルリマスタリングは最小限に抑えられており、それは何にも替えがたいことなのです。今回、入手した、バイロイト第九の初版CD(CC35-3165)のマスターCD-R により極上の音で三たびバイロイトの第九が甦ったと言えるのではないでしょうか。 東芝EMI がこれ程のクオリティーでマスターを保存していたこと自体、まず驚きですが、では一体我々が聴かされていたあのもやもやした音は何だったかということになります。転写とプレスに劣化の原因があったとしか今となっては言いようがありません。ともかく今、私の前に広がっている音響空間は、ティンパニーが引き締まり、雲一つない青空のように抜けきった高域です。第九はあまたあれど、バイロイトの第九に勝る第九は無し。今回、初版CD のマスターを聴き、益々その思いを強めた次第です。 尚、初版CD の演奏後の拍手は後付けが明らかであり、割愛いたしました。(オタケンレコード 太田憲志)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)、バイロイト祝祭管弦楽団 及び 合唱団、エリザベート・シュワルツコップ (ソプラノ)、エリザベート・ヘンゲン(コントラルト)、ハンス・ホップ(テノール)、オットー・エーデルマン(バス)
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