ピーター・フィリップス:ユダ族の獅子 ロバート・ホワイト:光なり日なるキリスト トマス・タリス:主よ、聞き入れたまえ、わたしの願いを/ おお、光から生まれた光よ ウィリアム・バード:聖なる讃美のうちに/ 汝の聖なる都市は/ おお主よ、われら囚われの身を/ 今こそ主よ、僕を去らせたまわん/ 目覚めていよ トマス・モーリー:私は罪人の死を望まない ロバート・ホワイト:エレミアの哀歌 ウィリアム・バード:義人らの魂は トマス・トムキンズ:全能の神よ、すべての叡智の泉よ
※録音:2012年6月ロンドン ---------- 2014年3月に設立50周年を迎えるガーディナー率いるモンテヴェルディ合唱団。本アルバムはバード、タリス、モーリー、フィリップス、ホワイトそしてトムキンズの6人の作曲家の作品を収録しています。国家の信仰が揺れ動いたイギリスの宗教改革の時代にヘンリー8世からエリザベス1 世までの4代に渡って仕えた作曲家トマス・タリス。そしてタリスに師事し、優れた才能によってエリザベス一世に寵愛されていたウィリアム・バード。2人もカトリックを信仰しており、自分自身の信仰を秘めながら、典礼音楽を作曲していましたが、多くの優れた作品を残しています。タイトルの「目覚めていよ(VIGULATE!)」は、エリザベス王朝時代、禁教であったカトリック教徒の立場を貫いたウィリアム・バードの、密かな音楽的な抗議であったと言われています。また、ピーター・フィリップスはバードらと共に当時名を馳せていた作曲家で、高い作曲技法をもっていました。マドリガルを多く作曲したトマス・モーリーの「私は罪人の死を望まない」。モーリーは比較的明るい雰囲気の作品の印象が強いですが、このような重厚な宗教曲でもその腕を発揮しています。ウェストミンスター寺院の楽長などを務め、イギリス国教会のための作品を書いたロバート・ホワイト。旧約聖書のエレミアの哀歌第1章をテキストとする作品「エレミアの哀歌」は彼の代表作であり、美しく崇高な作品です。そしてタリス、バードらの次の世代にあたるテューダー王朝時代に活躍したトムキンズ。彼はバードの弟子でイギリスのヴァージナル音楽の最後を飾る作曲家です。ガーディナーの巧みな合唱指揮者としての手腕と、モンテヴェルディ合唱団の透明感ある歌声、各声部がくっきりと示され明瞭に聴こえてくると、絶妙なタイミングで合唱が一つに溶け合うという見事な演奏で、イギリスのルネサンス・ポリフォニーの黄金時代を歌いあげています。
ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)、モンテヴェルディ合唱団
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