荻久保和明「しゅうりりえんえん」(1996年ライヴ) 高田三郎「橋上の人」(2000年ライヴ) 高田三郎「梢」(1989年) 大中恩「わたりどり」(1989年) ---------- * 辻正行×川井敬子×大久保混声合唱団の歴史に残る名演を収録 * この組み合わせならではの密度の高い音楽表現と瑞々しさの共存する演 奏は、聴き手に深い印象と感動を与えます。「わたりどり」「梢」は、さりげ なさの中に品格漂う佳演です。 * 合唱指揮者辻正行没後10年記念盤。
* ≪衝撃のライヴ≫荻久保和明『しゅうりりえんえん』収録 * 「私は、音楽が、とりわけ合唱ができることは何なのか、考えることが あります。『しゅうりりえんえん』には、忘れてはならない日本の現実があり ます。水俣の人々の故郷を、土地の神との契約を奪ったまま、過去の事件と割 り切っていくことは許されない、今また福島という街を生んでしまった私たち には、いつまでも心に留め置かなくてはならないと、痛切に感じるのです。」 (ライナーノーツ) * 「ただはっきり覚えているのは、当時、演奏される回数がかなり少なく なっていたこの曲が、辻+大久保の名演でふたたび注目されたことである。確 か宇都宮で全日本合唱コンクールが開催された時だったと思うが、大久保が 「しゅうりりえんえん」を歌った。僕はその時会場で聴いていたのだが、殺気 立った声の渦にあまりにも心打たれ、しばらく席を立つことができなかったこ とを思い出す。それほどまでに辻先生は、人間の内面を抉り出す作品の演奏で は凄いタクトを振っていた。」(ライナーノーツ) * 「胸の奥から、心の底から湧き上がって繰るいい知れぬ感動と共感の波 に、筆者は幾度も突き上げられた。これは「みなまた」をテーマにした混声合 唱とピアノのための組曲だが、決してキワモノめいた、ただ告発のための作品 ではない。〜中略〜 辻の、すべてをこの曲に賭けたような思いつめた心が、 荻久保の音楽を一体化して、火を噴いている。訴求力の強い演奏だ。おそらく 団員の一人ひとりがこのメッセージを伝えるべく、一つの心の中にすべてを歌 い切ったように思う。」(レコード芸術12月号/1996年) * ≪作曲家・ 高田三郎最後の演奏会“ひたすらないのち”≫作曲家の眼前で 演奏した至高の名曲『橋上の人』収録 * 「『橋上の人』は、辻の師である 高田三郎氏との関係を振り返る上で、最 も重要な作品だと言えます。収録されているのは、2000年5月に開催された 高田 氏の米寿記念コンサート『ひたすらないのち』のライヴ録音です。作曲家の眼 前で演奏する機会に、辻はこの曲を選びました。「 高田三郎とは異なるアプロー チで演奏する。」それが 高田作品に向き合う辻の考えでし。敬愛する師の自作自 演を越えたいという純粋な想いが昇華した、最も“辻らしい""演奏であると思い ます。 高田氏はこの時の演奏を気に入って、危篤となった同年10月13日の2日前 にもこの映像をじっと見入っていたそうです。」
指揮:辻正行 / ピアノ:川井敬子 / 合唱:大久保混声合唱団
|