ティム・ブレディ(1956-):交響曲第3番「アタカマ」(2007-2012) (合唱と11の楽器のための)
※録音:2012年6月 ---------- ティム・ブレディは1956年モントリオール出身の作曲家、ギタリスト、プロデューサー。彼はこれまでオペラ、交響曲そしてエレクトリック・ギターのための作品を100曲以上作曲し、19枚のCDを発売しています。現代音楽の作曲家でもあり、またマルチメディアを使ったエレクトリック・ギターや、彼の作品を紹介するアンサンブル、ブレディワークスを1989年に創設し、積極的に演奏活動を行っています。ここに収録されている交響曲第3番「アタカマ」は彼の最新作。スペイン語の歌詞で歌われる合唱を伴った6つの楽章からなる交響曲です。詞の内容はチリのピノチェット時代の恐怖政治について歌ったもの。タイトルの「アタカマ」はチリのアンデス山脈と太平洋の間にある砂漠で、そこから採掘される鉱床をめぐってペルーとボリビアは大規模な戦争を起こしています。またその険しさから「死の道」ともいわれるこの地には、採掘夫やピノチェット時代に政治犯として殺害された人々の遺体が埋まっている場所もあります。しかし一方で世界一乾燥した土地とも言われ、世界中から美しい星空を求めて天文学者が集まる光の地でもあります。曲はそのような残忍さの中にある一筋の希望を表すかのような内容で、第1 〜第5 楽章はエレクトリック・ピアノ、ギター、マリンバ、などの響きが教会音楽をイメージさせるアンビエントな曲調。終楽章は組曲のような形式で独特の音楽語法で感情的でドラマティックな音楽が展開される刺激的な曲です。
ブレディワークス、ヴィヴァヴォーチェ、ペーター・シューベルト(指)、ティム・ブレディ(エレクトリック・ギター)、エリアス・レテリエル・ルス(テキスト)
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